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春の学校を終えて

 昨年の春の学校で大雪が降ったことが嘘のような、今年は暖かい春の学校であった。南アルプスも八ヶ岳の雪を眺めると、5月連休前の姿である。一方、桜がちょうど満開でそれを味わうことは出来た。いずれにしても、やはり気候の変調は本格的である。このような異常気象が何を私たちにもたらすのか、いささか不気味である。異常気象はキララのベースである「自然・農・食」になによりも直接影響してくる。不気味ではあるが、その影響を見据えることで、この世の行く末を見通すことも可能になり、キララの子どもたちは町に戻れば預言者になれるかもしれない(もっとも、預言者というのは世間には歓迎されないのが常なので、要注意!)。

 キララのプログラムの基本は、「自然・農・食に、仕事(労働)を通して、技を通して、学習を通して触れる」ことであり、それは変わることなく継続されている。しかし、具体的なところでは断続的であったり、分断されていたりする面もある。学校が途切れ途切れに開校されており、また参加する子どもも必ずしも固定されていない以上、避けられない面もある。しかし、もう少し工夫して、子どもがもっと継続性を具体的に感じられるようにしたいとは思っている。例えば、秋の学校で「森の腐葉土」を自分たちで再現する「落ち葉の堆肥づくり」プログラムがあったが、今回はその切り返しをした。いずれ腐葉土になったら、この春の学校でデザインから開始された花壇づくりのために用いられることになるだろう。また、森で遊ぶことでも、今回は「木登り」が導入され、森を今までとは違う視線で見ることも行った。研修センターと畑と森だけがキララのフィールドではなく、横手という村全体がフィールドであることを少しずつ感じ取るために、村の探索(ポイント・ハンティウング2)も実施した。鶏さばき、レタス定植、野草摘みなどのプログラムについても、この報告書の編集方針がうまく実現すれば、今までとは異なる記録集として、子どもたちも何を体験したのかを再確認できるだろう。

 さらにキララでは、仲間やスタッフや協力者との交流を通して他者と出会い、それによって自分自身を理解していくことも重要な要素である。この要素は、これからますます重要になるが、子どもたちの日常生活の場とは異なる出会いが生まれることを期待したい。比較的新しいプログラムである「夜の白州シアター」もその場となっているだろう。映画は本来、読書に近い行為で、暗い映画館で独りきりで観るというのが原則。私はかなり前の方の席で、視野一杯のスクリーンを見上げながら観るのが好きである。しかし、白州シアターでは観ているのは仲間ばかりということで、独りではない。読書より集団的・共有的である。今回は私が「ショーシャンクの空の下で」を選んだが、どうだったのだろうか。小学生には難しくて申し訳ないが、映画はどうしても中学生以上のために選ぶことになるだろう。中学生になったならば、もっともっと人生や世界や社会を知り、出会い、考え、悩み、そして判断し、主張していかなくてはならないのだから、小学生には少しがまんをしてもらいたい。

 そして、常連の中学生がそれぞれそのことを抱えて白州にやってきていることも、今回は強く感じられた。解決できたのか、出来ないままなのか、進展があったのか、後退したのかはそれぞれであろうが、皆が生きる精神を深めようとしていることは間違いないだろう。

秋山 眞兄(キララ校長)